仏前結婚式の特徴と魅力【東本願寺・真宗大谷派】

仏前結婚式をご存知でしょうか?仏前結婚式とは、その名の通り、ほとけ様の前で行う結婚式のことです。

仏前結婚式というと一般人にあまり馴染みがないかもしれませんが、ほとけ様の前で厳かに行われるので非常に趣があります。

まだまだ認知度が低いですが、少なからず仏教と関わりのある日本人として、仏前結婚式を行いたいという方も最近増えてきています。

本記事では、仏前結婚式とはどんな結婚式なのか?どんな魅力があるのか?を現役僧侶が解説します。

これまで仏前結婚式を知っていた人も、知らなかった人も一つの選択肢と考えてみてはいかがでしょうか。

目次

仏前結婚式とは?

仏前結婚式と一口に言っても、日本には多くの仏教の宗派があるので、宗派によって作法や流れなどが若干違ってきます。

まず仏前結婚式とは、冒頭でも述べた通り、ほとけ様の前で行う結婚式のこと。つまり、ほとけ様に「私たちはこれから夫婦二人力をあわせて、歩んでいきます」という誓いを立てる結婚式です。

実は結婚式はどれも、自分たち以外に誓いを立てる儀式です。結婚とは2人だけのものではないからです。2人だけのものではないからこそ、第三者の承認が必要になってきます。

結婚式の中でも一番ポピュラーな教会式を始め、以下のようにすべてが第三者に誓いを立てます。

  • 神前式は、神社に祭られている神へ誓いを立てる結婚式
  • 教会式は、イエスキリストへ誓いを立てる結婚式
  • 人前式は、友人などの親しい人へ誓いを立てる結婚式
  • 仏前式は、ほとけ様へ誓いを立てる結婚

このように結婚式によって、誓いを立てる対象が違ってきますが、どれも共通している点は「誰に誓いを立てるのか」ということです。そのように考えてみると、仏教に馴染みがある日本人にとって、ほとけ様に誓いを立てる仏前結婚式は、意外と身近なものに思えてくるかもしれませんね。

仏前結婚式が行われる場所

教会式の結婚式がキリスト教の象徴である十字架が置かれたチャペルで行われるのと同様に、仏前結婚式ではほとけ様が安置されたお寺で行われるのが一般的です。

しかし、ほとけ様の前で行えばそれはすべて仏前結婚式です。そのためご本尊さえあれば、お寺でなくても仏前結婚式を行うことはできます。

実は、現在の教会式の結婚式が主流になる前は、自宅で結婚式を挙げていたそうです。今と違い昔は家に仏壇があるのが当たり前でしたから、自宅の仏壇で仏前結婚式を行っていたということもあるんですね。

ただ、現在自宅で結婚式を挙げるという人は見たことがないので、出来るというだけでお寺で行うのが普通です。

仏前結婚式の魅力

仏前結婚式の魅力は、なんといっても厳かな中にも温かみがあることです。

かつて自宅で行われていた名残なのか、後半に皆でお酒を飲み交わす儀式があります。

大体が、小学生くらいの親戚のお子さんにお酒を注ぐのをお手伝いいただくのですが、大丈夫かな?ちゃんと注げるのかな?と新郎新婦もハラハラドキドキしながら見守っていることが多いです。

また、仏前結婚式自体が行われる数が少ないというのも魅力の一つかもしれません。結婚式自体特別なものですが、他では見ることができない仏前結婚式を挙げるのはより一層特別に感じられるかもしれません。

仏前結婚式の衣装は?

仏前結婚式=和装じゃないといけないと思われる方が多いと思います。しかし、他の宗派ではわかりませんが、私が所属する真宗大谷派では洋装もOKとされています。

もちろん、新郎が僧籍を持っている場合、僧侶として衣と袈裟を着用することになりますが、新婦の服装は自由に決められます。

新婦の和装は白無垢のイメージがありますが、必ず白無垢でないといけないということはありません。白無垢は白無垢でも綿帽子は無しで洋髪で行われる方もいらっしゃいますし、色打掛の方もいらっしゃいます。

私は実際に見たことはありませんが、過去には、ウェディングドレスで仏前結婚式を行った方もいらっしゃるようです。

新郎が僧籍を持っていない場合は、一般的には紋付き袴を着用することが多いですが、洋装もOKとしています。

どんな人が向いている?

お寺に生まれた人にとってはとても馴染みがある結婚式ですが、現在はまだまだ一般の人があまり目にする機会はないのが実情です。

しかし、一定数希望者はいるようで、一般人の方でも仏前結婚式を行っている人はいます。

特に、和装で結婚式を行いたいけど、神道じゃないのでちょっと・・・という方が仏前結婚式を選んでいることが多い印象です。

仏前結婚式の後の披露宴はどうする?

昔は仏前結婚式は自宅で行われていたので、そのまま自宅で宴会となることが多かったようです。

今は披露宴会場で披露宴を行うというのが一般的なので、別途披露宴会場を予約し、仏前結婚式後にバス等で移動するというのをよく目にします。

また、仏前結婚式の場合、結婚式は和装で行うことがほとんどなので、新婦は披露宴のお色直しでウェディングドレスを着るということが多いです。

一般人が仏前結婚式を行うには?

一般人の方で仏前結婚式を行いたいという方は、お手次寺(菩提寺)がある場合は、まずご住職に相談してみましょう。

手次寺が大きなお寺や仏前結婚式を勧めているお寺の場合、それじゃあ私のところでやりましょうとなるかもしれません。またやっていない場合でも、この後の別院というお寺を紹介してもらえると思います。

真宗大谷派では、各地域に別院と呼ばれる大きなお寺がありますが、別院では仏前結婚式を行っているところが多いです。

一般寺院で行う場合でも、たいてい仏前結婚式用の道具を持っていないことが多いので、この別院から貸し出してもらっていたりします。

お手次寺がない場合でも、別院であれば受け入れていることが多いので、一度相談してみましょう。

仏前結婚式の費用

最後に仏前結婚式を挙げる場合の費用について、解説します。

真宗大谷派では別院で主に仏前結婚式を行っていますが、大体10万円から20万円程度の金額に設定されていることが多いです。

ただし、仏前結婚式を行うお寺に払うお金であって、紋付き袴や白無垢などのレンタル料、着付け料、カメラマン等は別途必要です。

これら別で必要になるものは、自分で業者を探して手配することもできますが、多くの人が別会場で披露宴を行うので、披露宴会場の方に手配いただくことが多いです。

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